スキル管理

スキルマップのテンプレートに必要な項目やその作り方

スキルマップのテンプレートに必要な項目やその作り方
aboutha2023

従業員のスキルを可視化し、効果的な人材育成を実現するために、スキルマップのテンプレートが必要だとお考えの方は多いと思います。

本記事では、スキルマップに必要な項目や具体的な作り方について、マーケティングの知識がない方でもわかりやすく解説します。効率的な人材配置や育成計画の策定に役立つテンプレート作成のポイントを学びましょう。

スキルマップとは?基本を理解しよう

スキルマップとは、従業員一人ひとりが持っているスキルの習熟度を一覧にした表のことです。別名「能力マップ」「力量表」「力量管理表」とも呼ばれています。

一般的なスキルマップの形式は、横軸に業務に必要なスキル項目を、縦軸に従業員の名前を配置します。そして、各スキルと従業員が交わるマス目に、その人のスキルレベルを記入していきます。

ポイント

スキルマップを活用することで、組織全体のスキル分布が一目でわかり、人材育成や配置の計画を立てやすくなります。

スキルマップを作成するメリット

スキルマップを導入することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 従業員のスキルが見える化され、誰が何をできるのかが明確になる
  • 効率的な人員配置が可能になり、プロジェクトに最適な人材を選べる
  • スキル不足の分野を特定でき、計画的な育成プログラムを組める
  • 従業員自身が自分の成長を実感でき、モチベーション向上につながる
  • 部門やチームごとの強み・弱みを把握し、戦略的な人材育成ができる

スキルマップのテンプレートに必要な基本項目

効果的なスキルマップを作成するには、適切な項目設定が重要です。ここでは、テンプレートに含めるべき基本項目について説明します。

基本構成要素

スキルマップのテンプレートには、以下の基本項目が必要です。

項目名 内容 記載例
従業員情報 氏名、所属部署、職位など 山田太郎、営業部、主任
スキル項目 業務に必要な具体的なスキル名 提案力、商品知識、データ分析など
評価基準 スキルレベルを示す段階 レベル1~5、S・A・B・C・Dなど
現在のレベル 各従業員の現時点でのスキル習熟度 レベル3、A評価など
目標レベル 目指すべきスキルレベル(任意) レベル4、S評価など

評価基準の設定方法

スキルマップでは、明確な評価基準を設定することが大切です。一般的には以下のような段階評価が用いられます。

評価段階 評価方法の例 特徴
2段階評価 できる/できない、合格/不合格 シンプルで判断しやすい
3段階評価 高・中・低、A・B・C 基本的な習熟度を区別できる
4段階評価 S・A・B・C、大変よい~悪い より細かい評価が可能
5段階評価 S・A・B・C・D、レベル1~5 詳細な習熟度を表現できる
ポイント

5段階評価では、例えば「レベル1:基礎知識がある」「レベル2:指導を受けながらできる」「レベル3:一人でできる」「レベル4:人に教えられる」「レベル5:改善・応用ができる」のように具体的に定義すると良いでしょう。

職種別スキルマップの項目例

スキルマップの項目は、職種や業務内容によって異なります。ここでは、代表的な職種ごとの具体的なスキル項目例をご紹介します。

営業職のスキル項目例

営業職のスキルマップでは、顧客との関係構築や提案力が重要な要素となります。

  • 商品・サービス知識:自社製品の特徴や競合との違いを理解しているか
  • 提案力:顧客のニーズに合わせた最適な提案ができるか
  • 交渉力:価格や契約条件について適切に交渉できるか
  • コミュニケーション能力:顧客との円滑な関係を築けるか
  • 関係構築力:長期的な信頼関係を構築できるか
  • 顧客把握力:顧客の課題やニーズを正確に理解できるか

技術職(エンジニア)のスキル項目例

技術職では、専門的な技術力とプロジェクト管理能力が求められます。

  • 設計・開発能力:製品やシステムの設計・開発に関する知識と技術
  • プログラミングスキル:使用する言語やフレームワークの習熟度
  • プロジェクト管理:進行状況を把握し、適切に管理できるか
  • 品質管理:業界基準や品質規格を把握し、遵守しているか
  • 問題解決能力:技術的な課題やトラブルを迅速に解決できるか
  • ドキュメント作成:技術文書を適切に作成できるか

管理職・マネージャーのスキル項目例

管理職には、チームをまとめるリーダーシップとマネジメント能力が必要です。

  • リーダーシップ:チームを率いて目標達成に導けるか
  • 人材育成能力:部下の成長を支援し、育成できるか
  • 戦略立案能力:部門の方針や戦略を立案できるか
  • 意思決定力:適切なタイミングで的確な判断ができるか
  • コーチング能力:部下の能力を引き出すサポートができるか
  • 業績管理:目標設定と進捗管理を適切に行えるか

スキルマップの作り方【8つのステップ】

ここでは、スキルマップを実際に作成する具体的な手順を8つのステップで解説します。

ステップ1:作成する目的を明確にする

まず、スキルマップを何のために作るのかを明確にしましょう。目的によって、必要な項目や評価基準が変わってきます。

  • 人材育成計画の策定のため
  • 効率的な人員配置の実現のため
  • 従業員の能力開発のため
  • 組織全体のスキルレベル向上のため

ステップ2:フォーマットやサンプルを決める

エクセルやGoogleスプレッドシートなど、どのツールで作成するかを決めます。既存のテンプレートを参考にすると、作成がスムーズに進みます。

ステップ3:業務内容に沿って必要なスキルを洗い出す

現場の従業員や管理者にヒアリングを行い、実際の業務で必要なスキルをリストアップします。このとき、できるだけ具体的にスキルを挙げることが重要です。

ポイント

抽象的な「コミュニケーション能力」ではなく、「顧客への提案プレゼンテーション」「社内会議での発言」など、具体的な行動レベルで定義しましょう。

ステップ4:業務スキルの難易度別に階層で分ける

洗い出したスキルを、基礎的なスキルから高度なスキルまで、難易度に応じてグループ分けします。

  1. 基礎レベル:業務を始めるために必要な最低限のスキル
  2. 応用レベル:一人で業務を完遂できるスキル
  3. 実践レベル:効率的に高品質な成果を出せるスキル
  4. 指導レベル:他者に教えられるスキル

ステップ5:スキル項目を決める

洗い出したスキルから、スキルマップに記載する項目を厳選します。あまり多すぎると管理が大変になるため、重要度の高いスキルに絞り込むことがポイントです。

ステップ6:スキルの評価基準と評価段階を決める

各スキルをどのように評価するか、具体的な基準を設定します。先ほど紹介した2段階から5段階の中から、組織に適した評価方法を選びましょう。

レベル 評価基準の例
レベル1 基礎知識があり、指導を受けながら実施できる
レベル2 一人で標準的な業務を遂行できる
レベル3 自律的に業務を完遂し、高品質な成果を出せる
レベル4 他者に指導でき、業務改善の提案ができる
レベル5 専門家レベルで、新しい手法を開発できる

ステップ7:試験的な運用とフィードバックで修正する

作成したスキルマップを一部の部署やチームで試験的に運用し、使いやすさや項目の適切性を確認します。現場からのフィードバックをもとに、必要に応じて修正を加えます。

ステップ8:本格的にスキルマップを運用する

修正を経て完成したスキルマップを、組織全体で本格的に運用開始します。定期的に更新し、常に最新の状態を保つことが重要です。

スキルマップ作成時の注意点

効果的なスキルマップを作成するために、以下の点に注意しましょう。

評価しやすいように具体的に記載する

スキル項目は、誰が評価しても同じ判断ができるよう具体的に記載することが大切です。曖昧な表現は避け、行動レベルで定義しましょう。

  • 悪い例:「コミュニケーションができる」
  • 良い例:「顧客に対して商品の特徴を5分間で説明できる」

現場の意見を取り入れる

実際に業務を行っている現場の従業員や管理者の意見を積極的に取り入れましょう。机上の空論ではなく、実務に即したスキルマップを作ることができます。

定期的に見直しと更新を行う

業務内容や求められるスキルは時代とともに変化します。少なくとも年に1回は見直しを行い、必要に応じて項目の追加や削除を行いましょう。

従業員のモチベーションに配慮する

スキルマップは、従業員の評価にも影響する可能性があります。成長を支援するためのツールであることを明確にし、ネガティブな印象を与えないよう配慮が必要です。

ポイント

スキルマップは処罰のためではなく、従業員の成長を支援し、組織全体の能力向上を目指すためのツールであることを、しっかりと伝えましょう。

スキルマップの効果的な活用方法

作成したスキルマップは、さまざまな場面で活用できます。

人材育成計画の策定

スキルマップを分析することで、組織全体や個人のスキル不足を把握し、効果的な研修プログラムや教育計画を立案できます。

適材適所の人員配置

プロジェクトや業務に必要なスキルと、従業員の保有スキルをマッチングさせることで、最適な人員配置が可能になります。

目標設定と評価

従業員と上司が一緒にスキルマップを確認し、今後の目標レベルを設定することで、明確な成長目標を共有できます。

採用計画への活用

組織全体で不足しているスキルを可視化することで、どのようなスキルを持つ人材を採用すべきかが明確になります。

まとめ

スキルマップのテンプレート作成には、従業員情報、スキル項目、評価基準、現在のレベルなどの基本項目が必要です。職種に応じて適切なスキル項目を設定し、8つのステップに沿って作成することで、効果的な人材育成や配置が実現できます。

スキルマップは作って終わりではなく、定期的に見直しと更新を行い、組織の成長とともに進化させていくことが重要です。現場の意見を取り入れながら、従業員のモチベーション向上にもつながるスキルマップを作成しましょう。

なお、スキルマップの作成や管理を効率化できるツールについては、関連記事で詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。

ABOUT ME
松本瑛二
松本瑛二
CMO
aboutha株式会社 CMO マーケティング統括を行いながら、自身の会社を2024年に立ち上げ。 "価値を正しく伝える"がモットー。 このサイトではビジネスを円滑に、なおかつ効率的に進めていく上で必要なビジネスツールやノウハウをご紹介していきます。
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