工数管理

工数管理とは?導入するメリット・デメリットを解説

aboutha2023

工数管理とは、プロジェクトや業務にかかった時間と人数を掛け合わせて計算し、業務量を可視化して管理することです。適切な工数管理を行うことで、プロジェクトの進捗把握や予算管理が容易になり、業務効率の向上やコスト削減にもつながります。この記事では、工数管理の基本からメリット・デメリット、導入方法まで分かりやすく解説していきます。

工数管理とは

みなさんは「工数」という言葉を聞いたことがありますか?工数とは、簡単に言うと「仕事をするのにかかった時間と人数」のことです。例えば、3人で5時間かけて作業をした場合、3人×5時間=15時間分の工数がかかったと計算します。

そして「工数管理」とは、この仕事にかかる時間と人数を記録して、計画と比較したり、改善に役立てたりすることです。学校の宿題に例えると、「数学の宿題は30分、英語は45分、理科は20分かかった」と記録しておくようなものです。こうすることで、「あ、数学と英語の宿題は時間がかかるから、早めに取り組もう」といった計画が立てやすくなりますね。

ポイント

工数 = 作業にかかった時間 × その作業に関わった人数

工数管理 = 工数を記録し、計画と比較して管理すること

工数と勤務時間の違い

工数と勤務時間は似ているようで違います。勤務時間は会社にいた時間のことですが、工数は実際に特定の仕事に使った時間のことです。例えば、8時間会社にいても、実際に特定のプロジェクトに取り組んだ時間は6時間で、残りは会議やメールの確認などに使ったということもあります。

勤務時間 会社で働いた時間全体(出社から退社までの時間から休憩時間を引いたもの)
工数 特定のプロジェクトや作業に費やした時間

工数管理を行うメリット

なぜ工数管理は大切なのでしょうか?企業やチームにとって工数管理を行うメリットを見ていきましょう。

タスクの作業量を正確に把握できる

工数管理をすることで、どの作業にどれくらい時間がかかるのかが明確になります。例えば、「資料作成に3時間、会議に2時間、メール対応に1時間」というように記録することで、どの作業に時間がかかっているのかが分かります。この情報は次回の計画を立てる際にとても役立ちます。

工数の共有ができる

チームで工数情報を共有することで、メンバー全員が進捗状況を把握できます。「あ、この部分が予定より時間がかかっているから、手伝おう」といった協力もしやすくなります。また、上司や他のチームに対しても、なぜその作業に時間がかかるのかを説明しやすくなります。

生産性の向上

工数管理を通じて、どの作業が効率的で、どの作業に無駄があるのかが見えてきます。例えば、「毎回会議に3時間かかっているけど、本当にそんなに必要?」と気づくことで、会議の時間を短縮するなどの改善ができます。こうして全体の生産性が上がっていきます。

コストの削減

工数管理をすることで、無駄な作業や非効率な業務プロセスが見えてきます。これらを改善することで、余分な残業や人員配置を減らし、コスト削減につなげることができます。例えば、「この作業は自動化できるのでは?」といった気づきが生まれることもあります。

計画と見積もりの精度向上

過去の工数データがあれば、新しいプロジェクトの計画を立てる時に、より正確な見積もりができるようになります。「前回似たようなプロジェクトでは、この部分に20時間かかったから、今回も同じくらい見ておこう」といった具合です。これにより、納期の遅れや予算超過を防ぐことができます。

工数管理を行うデメリット

工数管理にはたくさんのメリットがありますが、実施する上での課題やデメリットもあります。これらを知っておくことで、効果的に工数管理を行うことができます。

工数の入力に手間がかかる

工数管理の最大のデメリットは、毎日工数を記録する手間がかかることです。特に忙しい時期には「記録するのが面倒だな」と感じることもあるでしょう。また、工数記録の時間自体も立派な「工数」です。つまり「工数管理のための工数」が発生してしまいます。

最近では、工数記録を簡単にできるツールも増えていますが、それでもメンバー全員が正確に記録する習慣を身につけるまでには時間がかかります。

精度の高い管理が必要

工数管理は正確に行わないと意味がありません。適当に記録したデータでは、正しい分析や改善ができません。例えば「だいたい2時間くらい」と大雑把に記録したり、実際より多めに書いたり少なめに書いたりすると、データの信頼性が低下します。

また、作業の区分けも重要です。ただ「業務」と記録するだけでは、どの部分に時間がかかっているのかわかりません。かといって細かく分けすぎると、記録が大変になります。適切な粒度で記録することが大切です。

工数管理のデメリット克服のポイント

  • シンプルで使いやすい工数管理ツールを選ぶ
  • 記録する項目を必要最小限にする
  • 工数記録の目的と重要性をチームで共有する
  • 自動記録できる部分は自動化する

工数管理の手順

工数管理を効果的に行うには、適切な手順で進めることが大切です。ここでは、工数管理の基本的なステップを説明します。

1. 準備

  1. 責任者を決める:工数管理の責任者を決めて、全体を統括します。
  2. 工数管理のツールを選ぶ:ExcelやGoogle スプレッドシート、専用の工数管理ツールなど、チームに合ったものを選びます。
  3. 工数表を作成する:どのようなプロジェクトやタスクがあるか、どのような粒度で記録するかを決めて表を作ります。

2. 実践

  1. 精度の高い工数を入力する:日々の作業内容と時間を正確に記録します。
  2. データを共有する:チームメンバー全員が工数データを見られるようにします。
  3. 予定と実績を管理する:計画したとおりに進んでいるか、ずれがある場合はなぜかを確認します。

3. 集計・分析

  1. データを集計する:プロジェクトごと、メンバーごとなど様々な角度からデータを集計します。
  2. 分析する:どの作業に時間がかかっているか、予定と大きくずれている部分はあるかなどを分析します。
  3. 改善策を考える:分析結果をもとに、作業の効率化や工数見積もりの精度向上などの改善策を考えます。
ポイント

工数管理で最も重要なのは、従業員に精度の高い実工数を入力してもらうことです。そのためには、入力しやすいツールを選び、工数管理の目的やメリットをしっかり説明することが大切です。

工数管理ツールの選び方

工数管理を行うには、適切なツールを選ぶことが大切です。ここでは、工数管理ツールを選ぶ際のポイントを説明します。

従業員の入力・操作負担が少ないか

工数管理ツールを選ぶ際に最も重要なのは、実際に使う従業員の操作性です。いくら機能が豊富でも、使いにくいツールでは正確な記録が期待できません。入力操作が簡単で、直感的に使えるツールを選びましょう。

業種に合った機能や分析を搭載しているか

業種や企業によって工数管理の目的や方法は異なります。自社の業務内容に合った機能を持つツールを選ぶことが重要です。例えば、システム開発会社ならプログラミング作業の細分化ができるもの、設計会社なら図面ごとの工数管理ができるものなど、業務の特性に合ったツールを選びましょう。

適切なランニングコストなのか

工数管理ツールは、初期費用だけでなく月額や年額の利用料がかかるものが多くあります。機能が多ければ料金も高くなる傾向がありますが、必要のない機能にお金を払うのは無駄です。自社のニーズに合った、適切な価格帯のツールを選びましょう。

ツールのタイプ 特徴 向いている企業
Excelなどの表計算ソフト ・初期コストが低い
・カスタマイズ性が高い
・共有や同時編集が難しい
小規模な企業や少人数のチーム
工数管理特化型ツール ・工数記録に特化した機能
・シンプルで使いやすい
・他の管理機能は限定的
工数の可視化を主な目的とする企業
プロジェクト管理対応型 ・工数管理+プロジェクト管理
・タスク管理やガントチャートなどの機能
・比較的高機能で複雑
複数のプロジェクトを並行して進める企業
勤怠管理機能搭載型 ・勤怠管理と工数管理を連携
・実労働時間との整合性を確保
・給与計算とも連動可能
人件費管理を重視する企業

工数管理ツールを導入する際の注意点

工数管理ツールを導入する際には、いくつかの注意点があります。失敗を避けるために、以下のポイントに注意しましょう。

導入目的の明確化

工数管理ツールを導入する前に、なぜ工数管理を行うのか、何を達成したいのかを明確にすることが重要です。「みんなが使っているから」という理由だけで導入しても、効果的に活用することは難しいでしょう。具体的な目標(例:プロジェクトの遅延防止、コスト削減など)を設定しましょう。

無料トライアルでテスト運用を行う

多くの工数管理ツールは無料トライアル期間を設けています。実際に使ってみて、自社の業務フローに合っているかどうかを確認してから導入を決めましょう。特に、日々の入力のしやすさや、必要なレポートが簡単に出せるかなどをチェックすることが重要です。

導入目的の周知・研修

工数管理ツールを導入しても、使う人が目的を理解していなければ形骸化してしまいます。なぜ工数管理が必要なのか、どのように記録すればよいのかを全員に説明し、必要に応じて研修を行いましょう。特に「監視されている」と感じないよう、業務改善や公平な評価のためであることを伝えることが大切です。

工数管理の失敗例

  • 工数が細かすぎて負担になる:詳細すぎる工数記録は従業員の負担となり、正確な入力が難しくなります。
  • 名もなき工数が発生する:工数管理のための会議や報告作業など、本来の業務以外の時間が増えてしまうことがあります。
  • データを分析せずに終わる:せっかく記録しても分析や改善に活かさなければ意味がありません。
  • 目的が不明確なまま導入する:「とりあえず工数管理を」という姿勢では、効果を発揮できません。

まとめ:工数管理を成功させるために

工数管理は、適切に行うことでプロジェクトの成功率を高め、業務効率を向上させる重要な取り組みです。ここまで説明してきたように、工数管理には多くのメリットがありますが、導入や運用にはいくつかの課題もあります。

工数管理を成功させるためのポイントをまとめると、次のようになります:

  1. 目的を明確にする:なぜ工数管理を行うのか、何を達成したいのかを明確にしましょう。
  2. 使いやすいツールを選ぶ:従業員の負担が少なく、入力しやすいツールを選びましょう。
  3. 適切な粒度で管理する:細かすぎず、大雑把すぎない、ちょうどよい粒度で工数を記録しましょう。
  4. 全員で目的を共有する:工数管理の意義を全員が理解し、積極的に参加する環境を作りましょう。
  5. データを分析して改善に活かす:集めたデータを分析し、業務改善やプロジェクト計画に活かしましょう。

工数管理は、ただ時間を記録するだけの作業ではありません。記録したデータを分析し、業務改善やプロジェクト成功のために活用することが重要です。工数管理を通じて、無駄な作業を減らし、より効率的な働き方を実現しましょう。

ABOUT ME
松本瑛二
松本瑛二
CMO
aboutha株式会社 CMO マーケティング統括を行いながら、自身の会社を2024年に立ち上げ。 "価値を正しく伝える"がモットー。 このサイトではビジネスを円滑に、なおかつ効率的に進めていく上で必要なビジネスツールやノウハウをご紹介していきます。
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